仮想通貨の相続税はいくら?110%課税の仕組み・評価方法・相続手続きまで税理士が解説

仮想通貨の相続税はいくら?110%課税の仕組み・評価方法・相続手続きまで税理士が解説

仮想通貨を保有している家族が亡くなった際、残された遺族が直面するのが相続税の問題です。近年、ビットコインなどの資産価値が大きく上昇したことで、思わぬ高額の課税に戸惑うケースが増えています。特に、仮想通貨を相続すると税金が110%かかるという噂を聞き、相続することでかえって赤字になるのではないかと不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、仮想通貨の相続税がいくらになるのかという基本的な計算方法から、巷で語られる110%課税の仕組み、具体的な相続手続きの流れまでを専門的な視点で詳しく解説します。

目次

仮想通貨の相続税はかかる?仮想通貨の相続が課税対象になる理由

亡くなった方が保有していた仮想通貨(暗号資産)には、一般的に相続税が課税されます。仮想通貨はデジタル上のデータではありますが、法律上および税務上、経済的価値のある財産として扱われるためです。仮想通貨の相続が課税対象となる主な理由は、以下の通りです。 

  • 国税庁が仮想通貨を相続税の課税対象財産として明確に位置づけているため
  • 相続した仮想通貨を後に売却した際、所得税(雑所得)の課税対象にもなり得るため

相続が発生した際、被相続人(亡くなった方)が持っていたビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、相続開始時点の時価で評価され、他の遺産と合算して相続税の計算が行われます。

仮想通貨の相続税は国税庁の考え方に基づいて判断されるため

仮想通貨の相続税に関する取扱いは、国税庁が公表している暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)などの通達によって指針が示されています。暗号資産は金銭に見積もることができる経済的価値のある財産として、相続や遺贈により取得した場合には相続税の課税対象になると整理されています。

かつて仮想通貨は法的な位置づけが曖昧な時期もありましたが、現在は資金決済法などの改正を経て、明確に資産としての性質が認められています。そのため、仮想通貨の保有状況が後に判明し、申告漏れを指摘される可能性があります。無申告や過少申告があれば、税務調査や加算税の対象となるおそれもあります。相続人が仮想通貨の存在を把握していない場合であっても、被相続人の預金口座からの振込履歴などから発覚するケースも少なくありません。適正な申告を行うためには、国税庁のガイドラインに沿って正確に資産価値を評価することが不可欠です。

仮想通貨の相続では売却時に所得税が発生する可能性もあるため

仮想通貨を相続した際、その時点では相続税が課税されますが、その後にその仮想通貨を日本円に換金(売却)したり、他の仮想通貨と交換したりした場合には、別途、所得税が課税される点に注意が必要です。仮想通貨の売却益は原則として雑所得に分類されます。相続によって取得した仮想通貨であっても、被相続人が購入した際の取得価額を引き継ぐことになるため、相続時点の時価よりも低い価格で購入されていた場合、売却時に多額の利益が表面化し、高い税率の所得税が課せられる可能性があります。

このように、仮想通貨の相続は相続したタイミングと売却したタイミングの二段階で課税の機会が訪れるという性質を持っています。詳細な課税のタイミングについてはビットコイン(仮想通貨)の税金に関する解説なども参考に、税理士などの専門家と相談しながらシミュレーションを行うことが推奨されます。

仮想通貨の相続税110%は本当?おかしいと言われる理由

インターネット上などで「仮想通貨の相続税は110%かかる」という情報を見かけることがありますが、これは理論上の最大値を示したものであり、必ずしも全てのケースで起こるわけではありません。しかし、制度上の不備や計算の仕組みから、実質的な税負担が非常に重くなる可能性があるのは事実です。

おかしいと言われる背景には、主に以下の2つの要因があります。 

  • 所得税の計算において取得費加算の特例が仮想通貨には適用されないため
  • 相続時の評価額と売却時の実質価値に大きな乖離(暴落など)が生じるリスクがあるため

これらの要因が組み合わさることで、相続人が手元に残る金額よりも多くの税金を支払わなければならない逆ざやの状態が発生し得ると懸念されています。

仮想通貨の相続では取得費加算の特例が使えないため税負担が重くなる

不動産などの一般的な財産を相続した場合、相続税の取得費加算の特例を利用できることがあります。これは支払った相続税の一部を売却時の所得計算において取得費に加算できる制度です。

しかし、仮想通貨の売却益は雑所得に分類されるため、この特例は適用されません。その結果、相続税と所得税の両方が調整されずに課税される構造となり、税負担が重いと指摘されています。

仮想通貨の価格変動により納税額が資産価値を上回る可能性があるため

仮想通貨は他の資産に比べて価格の変動幅が極めて大きいという特徴があります。相続税は相続開始日(死亡日)の時価で計算されますが、その後の価格暴落は考慮されないのが原則です。

納税時点では高値でも売却時に価格が下落する可能性がある

例えば、ビットコインが1BTC=1,000万円の時に相続が発生し、その後納税期限までに価格が500万円に暴落したとします。この場合でも、相続税は1,000万円を基準に計算されます。もし相続税率が50%であれば、500万円の税金を納める必要がありますが、手元のビットコインを売っても500万円にしかならず、納税した瞬間に資産がゼロになってしまいます。

納税資金を現金で用意できないケースがある

仮想通貨は不動産のような物納(税金を物で納めること)が認められていません。そのため、多額の相続税が発生した場合は、保有している仮想通貨を売却して現金を作るか、他の現預金から支払う必要があります。しかし、取引所の口座凍結やパスワード不明などの理由で、すぐに売却できない状況にある中で価格が暴落してしまうと、納税資金の確保が極めて困難になります。

仮想通貨の相続税と所得税の違いとは?二重課税と言われる仕組み

仮想通貨を相続した際、混同しやすいのが「相続税」と「所得税」の関係です。これらは課税のタイミングも対象も異なる別の税金ですが、仮想通貨においてはその両方が重くのしかかる構造になっています。

主な違いを以下の表にまとめました。

項目相続税所得税(住民税含む)
課税タイミング仮想通貨を相続した時点相続した仮想通貨を売却・交換した時
課税対象相続財産の評価額(時価)売却益(売却価格 - 取得価額)
税率相続税率(10〜55%)雑所得(最大55%)
取得費被相続人の取得価格を引き継ぐ取得費を差し引いて計算
特例取得費加算の特例は原則使えない

仮想通貨の相続が二重課税と批判的に語られるのは、以下の3つのポイントが重なるためです。

1.仮想通貨の相続では相続税と所得税が別々のタイミングで課税される

この仕組みから、相続税と所得税を合計すると理論上110%に達する可能性があると指摘されることがあります。これは相続税の最高税率55%と所得税・住民税の最高税率約55%を単純に合算したものです。

まず理解しておくべきは、相続した時点で相続税が問題となり、その後に売却した時点で所得税が問題になるという二段階の課税構造です。

一般的に、相続税は富の再分配を目的として、亡くなった人の財産を引き継ぐ際にかかります。一方で所得税は得られた利益に対してかかります。仮想通貨の場合、相続した時点では含み益にすぎないものが、相続税の計算上は時価としてカウントされ、売却した際にはその含み益が所得として再度カウントされるため、同じ価値上昇分に対して二つの税金が網をかけている状態になります。

2.仮想通貨の相続では取得費加算の特例が使えないため税負担が重くなる

前述の通り、不動産などの売却では、相続税額の一部を取得費に算入して所得税を減らす取得費加算の特例がありますが、仮想通貨にはこれが適用されません。

これは、仮想通貨による所得が雑所得に分類されているというテクニカルな理由に基づきます。所得税法上の譲渡所得であれば特例の恩恵を受けられますが、雑所得である仮想通貨は、相続税をいくら払っていようが関係なく、売却時の利益に対して全額課税されます。この不均衡が、仮想通貨保有者にとって大きな負担増を招いています。

3.仮想通貨の価格変動によって相続後に損失が出るケースもある

相続時点の価格が高く、売却時点の価格が低い場合、税務上の利益と実態の手残りに大きなズレが生じます。相続時点の価格が高く、売却時点の価格が低い場合、経済的には損失が出ていても、すでに支払った相続税が減額されるわけではありません。また、暗号資産取引による雑所得の損失は、給与所得など他の所得と損益通算することもできません(同一年中の他の雑所得との内部通算は可能)。結果として、経済的には損失を抱えているにもかかわらず、税務上は多額の相続税と所得税または損失の切り捨てが発生するという過酷な状況に陥るリスクがあります。

仮想通貨の相続税評価はどう決まる?国税庁の評価方法と税額の考え方

相続税を算出するためには、まず保有している仮想通貨が「いくらの価値があるか」を確定させる必要があります。これを相続税評価と呼びます。国税庁の指針暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)によれば、評価方法は主に以下の3つの考え方に基づきます。 

  • 相続開始時点(被相続人が死亡した日)の時価を基準とする
  • 活発な市場が存在する場合は、取引所が公表する価格を採用する
  • 市場が存在しないマイナーな通貨などは、合理的な方法で個別に評価する

仮想通貨の相続税評価は相続開始時点の時価が基準になる

相続税法における財産評価の基本原則は、相続開始時の時価による評価です。仮想通貨も例外ではなく、被相続人が亡くなったその日の価格が基準となります。

具体的には、被相続人が利用していた仮想通貨交換業者が公表する相続開始日の残高に基づき、その日の終値や、取引所が提供する残高証明書に記載された金額を使用します。1日のうちに価格が激しく変動する場合もありますが、基本的にはその日の最終価格や、取引所が定める基準値を用いるのが一般的です。

活発な市場がある仮想通貨は取引所価格を基準に評価する

ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のように、日々多くの取引が行われている活発な市場が存在する暗号資産については、評価が比較的容易です。相続人が、被相続人の利用していた取引所から残高証明書を取り寄せることで、相続開始日の評価額を証明できます。もし複数の取引所を利用していた場合は、それぞれの取引所における価格で評価します。

市場がない仮想通貨は合理的な方法で評価する

上場直後のマイナーなアルトコインや、特定のプラットフォーム内でのみ流通している仮想通貨など、活発な市場が存在しない暗号資産の場合は、評価が複雑になります。

このようなケースでは、売買実例価額や、精通者の意見を参考にした価格、あるいはその仮想通貨の取得価額などを考慮し、客観的に妥当と認められる方法で評価しなければなりません。実態として価値がゼロに近いものであっても、何らかの価値が認められる限りは報告が必要です。

NFTなども同様に、類似の作品の取引価格などを参考に評価を行う必要があります。こうした特殊な資産の評価については、個人での判断が難しいため、専門の税理士への相談が強く推奨されます。

仮想通貨の相続税はいくらになる?税額の考え方と注意点

仮想通貨の相続税額がいくらになるかは、単に仮想通貨の金額だけで決まるわけではありません。相続税の基本的な計算の仕組みを理解しておく必要があります。主な注意点は以下の通りです。

  • 仮想通貨の相続税は相続財産全体の金額から算出される
  • 仮想通貨の評価額によって相続税額が大きく変わる可能性がある

仮想通貨の相続税は相続財産全体の金額から算出される

相続税は、仮想通貨単体に課されるものではなく、被相続人が遺した「全ての財産」の合計額に対して計算されます。具体的には、仮想通貨の評価額 + 現預金 + 不動産 + 株式 + その他の動産 = 総遺産額 となります。ここから債務(借金)や葬式費用を差し引いた課税遺産総額が計算のベースになります。

したがって、仮想通貨自体の保有額が少なくても、他に多額の不動産や預金がある場合は、仮想通貨に対しても高い税率が適用されることになります。逆に、遺産全体が「基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)」の範囲内であれば、仮想通貨を相続しても相続税はかかりません。

仮想通貨の評価額によって相続税額が大きく変わる可能性がある

仮想通貨は数百万円単位、あるいは数千万円単位で価値が変動することが珍しくありません。相続発生のタイミングがたまたま高値だった時期に重なると、相続税額が跳ね上がってしまいます。

評価額次第で納税額は1,000万円単位で変わる可能性があるため、正確な時価把握が急務となります。

仮想通貨の相続で取得価格が分からない場合はどうする?税金計算への影響

相続した仮想通貨を売却する際の所得税計算において、最も大きな壁となるのが取得価格(被相続人がいくらで買ったか)の特定です。取得価格が分からないと、税務上不利な扱いを受ける可能性が高いため、以下の点に注意が必要です。 

  • 仮想通貨の相続では取得価格が売却時の税金計算に影響する
  • 取引履歴や残高証明書から取得価格を確認する
  • 取得価格が分からない場合は税務上の扱いに注意が必要になる

仮想通貨の相続では取得価格が売却時の税金計算に影響する

所得税(雑所得)の計算式は、原則として売却価格 -(取得価額 + 売却費用)です。つまり、取得価格が高ければ高いほど、課税対象となる利益は少なくなります。

相続の場合、被相続人の取得価格をそのまま引き継ぎます。しかし、数年前、あるいは十数年前に購入された仮想通貨の場合、当時のメール履歴や取引画面が残っておらず、いくらで買ったか分からないという状況が頻発します。もし、取得価格が全く証明できない場合、売却価格の 5%を取得費ととして計算することが認められています。しかし、これは95%が利益として課税されることを意味し、実際の取得価額がもっと高かった場合には極めて重い税負担となります。そのため、取引の記録を生前から保全しておくことが極めて重要です。

取引履歴や残高証明書から取得価格を確認する

取得価格を特定するためには、被相続人が利用していた取引所から年間取引報告書や取引履歴データ(CSV等)を取り寄せることが第一歩です。国内取引所であれば、相続人からの依頼に基づき、過去の全履歴を開示してくれるのが一般的です。複数の取引所間で送金を行っていた場合は、それぞれの取引履歴をパズルのように組み合わせて、平均取得単価を算出していく作業が必要になります。

取得価格が分からない場合は税務上の扱いに注意が必要になる

どうしても取得価格が分からない場合、銀行口座の送金履歴(取引所への振込額)や、当時の時価水準、被相続人のメモなどを証拠として、合理的な推計を行うことも検討されます。

ただし、これらはあくまで補完的な証拠であり、税務署に認められるかどうかは個別の判断によります。最も安全なのは、被相続人が生前に取得価格の記録を残しておくことですが、亡くなった後であれば、可能な限り客観的な資料(スクリーンショットやメールの控えなど)をかき集めるしかありません。

資料が不十分なまま過少に申告すると、後に過少申告加算税や延滞税といったペナルティが課されることもあるため、慎重な対応が求められます。

仮想通貨の相続手続きはどう進める?国内取引所での手続きの流れ

ここまで税金の仕組みを説明しましたが、実際に仮想通貨を相続するためには取引所に対して正式な手続きを行う必要があります。基本的な流れは以下の通りです。

  1. 仮想通貨の相続手続きは取引所の特定から始める
  2. 取引所へ死亡連絡をして相続手続きの必要書類を確認する
  3. 残高証明書を取得して相続税申告に備える
  4. 必要書類を提出して仮想通貨または換金後の資金を受け取る

① 仮想通貨の相続手続きは取引所の特定から始める

まずは、亡くなった方がどこの取引所に口座を持っていたかを特定する必要があります。確認方法の例は以下の通りです。

  • 被相続人のスマートフォン内のアプリを確認する 
  • 登録していたメールアドレスに取引所からの通知が届いていないか確認する
  • 銀行口座の通帳を記帳し、取引所への入出金履歴を探す

日本の取引所であれば、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)などの団体を通じて一括照会できる仕組みは今のところありません。そのため、地道な調査が必要となります。

② 取引所へ死亡連絡をして相続手続きの必要書類を確認する

口座が特定できたら、各取引所のカスタマーサポートや専用窓口に「口座名義人が死亡した」旨を連絡します。例えば、bitFlyerの相続手続き案内や、Coincheckの相続手続きFAQなどでは、死亡連絡から始まる一連のフローが明示されています。

この連絡により、不正利用防止のために口座が一時凍結されます。その後、取引所から相続手続きに関する案内と、必要書類のリストが送られてきます。

③ 残高証明書を取得して相続税申告に備える

相続税の申告期間(死亡を知った翌日から10ヶ月以内)に間に合わせるため、速やかに相続開始日時点の残高証明書の発行を依頼します。これがないと、正確な相続税の計算ができません。

残高証明書には、保有している通貨の種類、数量、その日の時価が記載されます。これが税務署に対する最も強力な証明資料となります。

④ 必要書類を提出して仮想通貨または換金後の資金を受け取る

遺産分割協議が整い、必要書類を全て提出すると、仮想通貨の払い戻しが行われます。受け取り方法は取引所によって異なり、bitFlyerのFAQにあるように、相続人自身の口座への振替が行われるのが一般的です。

仮想通貨の相続でパスワードが分からない場合どうなる?相続できないリスク

前述した手続きは、取引所の口座やログイン情報が把握できている場合の一般的な流れです。しかし実際の相続では、パスワードや秘密鍵が分からず資産にアクセスできないケースも少なくありません。銀行口座や証券口座とは異なり、仮想通貨はアクセス情報が分からなければ資産を動かすことができません。

そのため、被相続人がどのように仮想通貨を管理していたかによっては、相続人が資産を引き継げない可能性もあります。まずは、パスワードや秘密鍵が分からない場合にどのような問題が生じるのかを整理しておきましょう。

仮想通貨はパスワードが分からなくても相続税の課税対象になる可能性がある

驚くべきことに、相続人がパスワードを知らず、中身を引き出せない状態であっても、税務上は価値のある財産として相続税の課税対象とされる可能性があります。これは、取引所の口座に資産が存在している以上、法的には相続できる権利があるためです。

国内取引所の口座であればパスワードが不明でも相続手続きができる場合がある

幸いなことに、ビットフライヤーやコインチェックといった国内の認可済み取引所に預けている場合、相続人がパスワードや2段階認証のコードを知らなくても、法的な手続きを経ることで、取引所側で資産を回収できる仕組みが整っています。パスワードを忘れた場合の対応指針なども参考に、取引所へ相談することが大切です。

秘密鍵が分からないウォレットは資産を失う可能性がある

一方で、セルフカストディ型ウォレットなどで管理していた場合、リカバリーフレーズや秘密鍵を紛失してしまうと、世界中の誰もその資産を動かすことができなくなります。この状態になった仮想通貨は、実質的に消滅したのと同じであり、相続手続きという概念すら適用できない深刻な事態となります。

仮想通貨の相続放棄はできる?納税が難しい場合の判断基準

仮想通貨の相続では、相続税の負担や価格変動のリスクから「相続したくない」と考えるケースもあります。このような場合に検討されるのが、相続そのものを放棄する相続放棄という制度です。

ただし、相続放棄には期限や手続き上の注意点があるため、制度の内容を正しく理解したうえで判断することが大切です。

仮想通貨の相続放棄は相続開始から3か月以内に判断する必要がある

相続放棄をするためには、自分が相続人であることを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申告する必要があります。仮想通貨の価値は激しく変動するため、相続発生時には高額だった資産が、3ヶ月経つ頃には暴落していることもあり得ます。異常な税負担が生じるような場合は、早めに仮想通貨を相続する方法と破産リスクを把握し、判断を下す必要があります。

仮想通貨の価格下落で相続税が払えない場合の対処法

相続放棄を選ばない場合でも、納税資金が不足するケースはあり得ます。このような場合には、一定の条件を満たすことで延納が認められる可能性があります。ただし、価格下落を理由に税額そのものを減額してもらうことは原則としてできません。
そのため、相続した直後に仮想通貨の一部を売却し、納税資金を確保しておくことが現実的な対応策となります。

仮想通貨の相続税対策はできる?生前に考えておきたい備え

仮想通貨はデジタル資産であるため、相続人が資産の存在に気付けないケースも少なくありません。
その結果、相続手続きが滞ったり、資産を引き出せなくなったりするトラブルも起こり得ます。こうした問題を防ぐためには、生前から相続を見据えた以下のような準備をしておくことが重要です。

  • 仮想通貨の相続税対策として保有状況を一覧化しておく
  • 仮想通貨の相続税対策として生前贈与を検討する
  • 含み益が大きい仮想通貨は生前売却も選択肢になる

各項目を以下で詳しく見ていきましょう。

仮想通貨の相続税対策として保有状況を一覧化しておく

最も重要かつ簡単な対策は、どの取引所に、どの銘柄を、どれくらい持っているかを記したリストを作成しておくことです。これがあるだけで、相続人の調査負担は劇的に軽減されます。

仮想通貨の相続税対策として生前贈与を検討する

毎年110万円の基礎控除枠を利用した「暦年贈与」によって、少しずつ家族に仮想通貨を移していく方法です。日本ブロックチェーン協会(JBA)による要望書などでも指摘されている通り、現行の税制下では戦略的な贈与が有効な対策となり得ます。

含み益が大きい仮想通貨は生前売却も選択肢になる

将来的に相続税と所得税で半分以上が持っていかれることが予想されるなら、生前に少しずつ売却して現金化し、その現金を元手に他の相続税対策に充てることも検討に値します。

仮想通貨の相続税で失敗しないために早めの確認と準備が重要

仮想通貨の相続は、目に見えない資産であるがゆえに、放置しておくと遺族に多大な苦労をかけることになります。相続税評価の仕組みと、その後に待ち受ける所得税(売却時課税)の問題を切り分けて理解しておくことが、トラブルを防ぐ第一歩です。

特に、パスワードの管理や取得価格の証明資料の確保は、生前でなければできないことも多いため、早めの整理が推奨されます。また、実際に相続が発生した場合は、暗号資産や相続税務に詳しい税理士、必要に応じて相続問題に強い弁護士などの専門家に相談しながら対応を進めることが重要です。

監修者

伴洋太郎 税理士

伴洋太郎 税理士

BANZAI税理士事務所 代表。 税理士、1級ファイナンシャルプランニング技能士