元本保証は違法?なぜ投資で禁止されるのか弁護士が解説

元本保証は違法?なぜ投資で禁止されるのか弁護士が解説

投資や資産運用を検討する際、またSNSなどで投資の勧誘を受けた際、元本保証という言葉に魅力を感じる方は少なくありません。大切なお金を守りながら増やしたいと願うのは自然な心理ですが、実は投資において安易に元本保証を約束する行為は、法律で厳しく制限されています。

この記事では、元本保証が違法とされる法的根拠や、例外的に認められるケース、そして巧妙な投資詐欺の手口について法律の観点から解説します。

目次

元本保証は違法?結論をわかりやすく解説

資産運用や投資の勧誘において、元本保証をうたうことの是非については、以下の3つのポイントが重要です。

  • 投資における元本保証の約束は原則として法律違反であること
  • 銀行預金や国債など、投資以外の場面では、公的な制度で元本等が守られている例外が存在すること
  • 元本保証と高利回りがセットの場合は、詐欺の可能性が極めて高いこと

それぞれのポイントについて、法的な背景も含めて解説します。

投資で元本保証をうたう行為は原則として違法

投資や資産運用の勧誘において、「元本を必ず返還する」と約束して資金を集める行為は、日本の法律上、原則として禁止されています。主な根拠となるのは、出資法や金融商品取引法です。

投資には本来リスクが伴うため、安易に元本保証をうたうことは認められていません。こうした規制は、返済能力のない業者による無責任な資金集めを防ぎ、投資家を保護するために設けられています。

銀行預金や国債など制度上認められる元本保護は例外 

もっとも、すべての元本保護が違法というわけではありません。銀行預金や個人向け国債のように、投資以外のものについては、法律や公的制度によって元本保護に近い仕組みが存在している場合があります。これらは、一般の投資勧誘とは異なり、法令や公的信用に基づいて提供されている点に特徴があります。

元本保証と高利回りをうたう投資は詐欺の可能性が高い

元本保証に加えて高利回りまで強調する勧誘には、特に注意が必要です。元本を確実に守りながら、市場平均を大きく上回る利益を継続的に出すことは、通常は極めて困難だからです。そのため、「元本保証で高配当」「絶対に損をしない」といった説明は、投資詐欺の典型的な誘い文句である可能性があります。

元本保証とは?投資で使われる意味を解説

元本保証とは、預け入れた金額(元本)がいかなる場合でも減少せず、又は元本割れが生じた場合でも、解約時や満期時に全額が返還されることを約束する仕組みを指します。しかし、株式や債券、外国為替(FX)、暗号資産などの一般的な投資商品は、市場の需給や経済状況の変化によって価値が常に変動しています。

投資の本来の定義は、リスクを受け入れる代わりにリターンを期待することです。したがって、価格変動がある商品に対して「絶対に減らない」と約束することは、投資の基本原則に反する行為といえます。正規の金融機関が販売する投資信託などの説明書には、必ず「本商品は元本を保証するものではありません」といった旨の記載があるのは、こうした背景があるためです。

元本保証の投資は違法?金融庁の見解と注意喚起

金融庁は、無登録業者による投資勧誘や、元本保証をうたう怪しい勧誘について注意喚起を行っています。ここでは、金融庁の基本的な見解と、登録状況の確認方法を解説します。

金融庁は元本保証をうたう投資勧誘に注意喚起している

金融庁の公式サイトでは、無登録業者による投資勧誘や、元本保証をうたう怪しい取引について、繰り返し注意喚起が行われています。特に、海外に拠点を置くと称する業者が、インターネットやSNSを通じて日本の居住者に元本保証をうたった勧誘を行う事例が多発しています。

金融庁は、こうした勧誘を受けた場合にはまず疑うことを推奨しています。正規の金融業者は、リスクを隠してメリットだけを強調するような営業手法をとることはありません。公的機関が繰り返し注意喚起していることからも、こうした投資勧誘による被害が深刻であることがうかがえます。詳細は投資詐欺等に関する相談事例等と相談室からのアドバイスでも確認できます。

金融庁の登録業者検索で投資業者の登録状況を確認できる

勧誘を受けた業者が正規のものであるかどうかは、金融庁の免許・許可・登録等を受けている業者一覧のページから誰でも簡単に確認できます。ここに掲載されていない業者が投資の話を持ちかけてきた場合は、安易に契約や送金を行わず、まず登録状況を慎重に確認することが重要です。

また、登録番号を詐称しているケースもあるため、必ず金融庁の公式サイトから直接検索して確認するようにしてください。業者名だけでなく、所在地や代表者名などが一致しているかも重要なチェックポイントとなります。信頼できる相手であれば、自社の登録状況について明確に説明できるはずです。

出資法では元本保証は違法?その関係を解説

元本保証の違法性を考えるうえで重要なのが出資法です。出資法は、不特定多数からの安易な資金集めを規制し、出資者を保護するための法律です。特に重要なのは、出資法のもとでは、何人も元本の返還を約束して資金を受け入れる行為を厳しく制限している点です。名目が投資であっても、実態として元本保証を示唆する内容であれば、出資法の規制対象になる可能性があります。

出資法第1条が禁止する元本保証

出資法第1条では、「何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。」として、不特定多数の者から、元本の返還を約束して金銭を受け入れることを禁止しています。

この規定のポイントは、受け入れる名目が「投資金」「協力金」「入会金」など、どのような名称であっても、実質的に元本返済の約束があれば本条の規制対象とされる点です。

元本保証を約束して資金を集める行為は出資法違反になる可能性がある 

実際に、多くの投資詐欺事件ではこの出資法違反が適用されます。犯人側は「これは投資だから元本保証ではない」と言い逃れをしようとしますが、契約書や勧誘のメールなどに「元本保証」「元本割れなし」といった文言があれば、客観的な証拠として出資法違反と判断される材料になります。

投資家からすれば、元本が保証されているのは安心なことに思えますが、法律はあえてそれを禁止することで、十分な資産的裏付けのない者が無責任に資金集めを行うことを防いでいます。安易な元本保証の約束は、それ自体が法的なリスクを孕んだ不適切な行為なのです。

出資法違反となった場合の罰則と刑事責任 

出資法違反(預り金の禁止)には刑事罰が設けられており、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらが併科される可能性があります。法人についても同様です。このように、元本保証をうたって資金を集める行為は、重大な違法行為として扱われています。

元本保証の投資勧誘は違法?金融商品取引法との関係

金融商品取引法もまた、不適切な投資勧誘を厳しく規制している法律の一つです。以下で詳しく解説します。

金融商品取引法では断定的判断の提供や損失填補の約束を伴う投資勧誘が禁止されている 

金融商品取引法では、投資商品の販売や勧誘にあたり、顧客に対して将来における変動が不確実な事項について、断定的な判断を提供して勧誘する行為や損失等の填補を明確に禁止しています。元本保証の約束は、将来の元本がどうなるかに対して「絶対に減らない」という断定的な判断を示すものであるとともに、元本割れなどの損失について填補する約束するものであり、この規定に真っ向から違反します。正規の証券会社などの職員が、顧客に対して「この株は元本保証だから大丈夫ですよ」と一言でも言えば、それだけで法律違反となるほどの重大な違反行為です。

「必ず儲かる」といった表現は違法勧誘になる可能性

元本保証という直接的な言葉だけでなく、「絶対に損はしない」「必ず利益が出る」「100%儲かる」といったニュアンスの表現も、断定的判断の提供に該当する可能性が高いです。投資には常に不確実性が伴う以上、どのような優れたアルゴリズムや事業計画であっても絶対を保証することはできません。

こうした表現を用いる勧誘は、顧客に誤った安心感を与え、冷静なリスク判断を妨げるものであるため、法律によって厳しく制限されています。誠実な業者であれば、期待できるリターンと同時に、発生しうる損失の可能性についても、同等に時間を割いて説明を行うはずです。

元本保証をうたう投資は危険?よくある詐欺の特徴

元本保証を掲げる投資話には、以下のような共通する詐欺の手口がいくつか存在します。

  • 高利回りと元本保証の不自然な組み合わせ
  • SNSやLINEを利用した巧妙な誘導プロセス
  • 仮想通貨や自動売買といった不透明な運用実態

「元本保証」と「高利回り」を同時にうたう投資

一般的に、安全性(元本保証)と収益性(高利回り)は、シーソーのような関係にあります。安全性を極限まで高めれば利回りは下がり、高い利回りを求めればリスクも高くなるのが、健全な経済市場の原則です。もし「元本保証で年利20%」という商品が実在すれば、世界中の機関投資家や銀行がこぞってそこに資金を投じるはずであり、一般の個人にわざわざ勧誘が来る必要はありません。

このようないいとこ取りの条件を提示された場合は、運用の実態がないまま新しい出資者の資金で配当を装う典型的な詐欺を疑うのが、資産を守るための基本です。愛知県警察の元本保証、高配当を謳う投資話にご注意を!というページでも、具体的な手口への注意喚起がなされています。

SNSやLINEで勧誘される投資詐欺では元本保証がよく使われる

近年、InstagramやFacebookの広告からLINEへと誘導され、見知らぬ先生やアシスタントから投資を勧められる被害が急増しています。こうしたグループチャット内では、サクラのメンバーが「元本保証のおかげで利益が出た」「安心できる先生だ」といった投稿を繰り返し、心理的な安心感を植え付けます。

そこでは、偽の運用画面やアプリを見せられ、あたかも自分の資産が増えているように錯覚させられます。しかし、いざ出金しようとすると「手数料が必要」「元本保証の解除料がかかる」などと理由をつけて、さらなる送金を要求されるのが通例です。SNSなどを通じた投資や副業のもうけ話に関する消費者庁の注意喚起も、こうした勧誘がいかに危険であるかを強調しています。

仮想通貨投資やFX自動売買で多い元本保証トラブル

 「AI(人工知能)を使った高度なシステムなので元本は保証される」「独自の暗号資産で損失をカバーする」といった、一見専門的で難しそうな説明もよく使われます。しかし、どのような最新技術であっても、市場の暴落や急変による損失を完全に防ぐことはできず、元本保証は不可能です。

こうしたケースでは、入金先が法人名義ではなく個人名義の口座であったり、海外の不明な口座への送金を指示されたりすることが多いです。実態のないシステムを信じ込ませるために元本保証という言葉が使われているに過ぎず、最終的にはサイトが閉鎖されたり、担当者と連絡が取れなくなったりして身動きが取れなくなるケースがほとんどです。

元本保証でも違法ではないケースはある?預金・国債・保険との違い

すべての元本保証が違法というわけではありません。銀行預金や個人向け国債のように、投資以外の場面では、法律や公的制度によって元本保護に近い仕組みが認められているものもあります。

一方で、保険商品はすべてが元本保証ではなく、商品によっては元本割れの可能性があるため、預金や国債と同じ感覚で捉えないことが大切です。預金保険制度では一般預金等は1金融機関ごとに元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護され、決済用預金は全額保護されます。個人向け国債は国が元本と利子の支払いを行う仕組みで、発行から1年経過後は中途換金も可能です。

預金・国債・保険の違いは以下の通りです。

項目銀行預金個人向け国債保険商品
元本の扱い制度上、一定範囲で保護される国が元本と利子の支払いを行う商品によって異なる
主な根拠預金保険制度、銀行法国の信用、個人向け国債制度保険業法、商品ごとの約款
破綻・解約時の考え方一般預金等は1金融機関ごとに元本1,000万円までと利息等を保護。決済用預金は全額保護発行から1年経過後は中途換金可能。満期時は元本が戻る仕組み外貨建て保険・変額保険などは元本割れの可能性あり
勧誘時の注意点預金商品として制度が整備されている安全性は高いが中途換金時の条件確認は必要断定的判断の提供や不実告知は禁止される
投資詐欺との見分け方正規の金融機関か確認しやすい財務省や取扱金融機関で確認しやすい「保険だから絶対安心」と言い切る勧誘は危険

銀行預金は制度上元本保証に近い仕組みで保護されている 

私たちが銀行にお金を預ける際、その元本は銀行法と預金保険制度によって強力に守られています。これは銀行が預金を受け入れる免許を持つ特別な機関だからです。たとえ銀行が経営破綻しても、預金者は法的に保護されます。

預金は投資ではなく、債権としての性格が強く、銀行には預金契約に基づき受領した金額を返還する義務があります。このように、あらかじめ法律で元本を返還することを業務として認められているのが銀行であり、そのために厳しい公的監督を受けているのです。

個人向け国債は国が元本と利子の支払いを行う

個人向け国債は、日本国政府が発行し、元本と利子の支払いを国が責任を持って行うため、日本で最も安全な金融商品の一つとされています。発行から1年経過すれば、中途換金しても元本が国から払い戻されるため、実質的な元本保証といえます。

国債は国が資金を借りる際に発行する証書であり、国自体が破綻しない限り元本が守られます。これは民間企業の投資商品とは異なり、国としての高い信用に基づいた仕組みです。

元本保証をうたう投資勧誘を見抜くポイント

元本保証を強調する投資勧誘の中には、法律上問題のあるケースや、詐欺的な手口が含まれていることも少なくありません。特にSNSやLINEなどを通じた投資勧誘では、もっともらしい説明や成功事例を示されることで、冷静な判断が難しくなることがあります。ここでは、違法な元本保証の投資に巻き込まれないために、勧誘を受けた際に確認しておきたい代表的なポイントを紹介します。

振込先が個人名義の口座になっていないか確認する

投資や資産運用を扱う正規の金融業者であれば、通常は会社名義の口座を使用します。そのため、投資資金の振込先として個人名義の銀行口座が指定された場合は注意が必要です。

実際の投資詐欺では、架空の投資話を持ちかけ、個人名義の口座へ送金させる手口が多く確認されています。もちろん例外的なケースが全くないとは言えませんが、法人としての金融業務を行う以上、資金管理の透明性が確保されているのが通常です。振込先が個人名義である場合は、その理由を慎重に確認することが重要です。

金融庁に登録された業者かどうかを確認する

日本国内で投資商品の販売や助言、運用などを業として行う場合、金融商品取引法に基づき金融庁または財務局への登録が必要です。したがって、登録を受けていない業者が投資勧誘を行っている場合、その時点で違法の可能性があります。

金融庁の公式サイトでは、登録を受けている金融商品取引業者の一覧を公開しており、誰でも確認することができます。勧誘を受けた業者の名前や登録番号を調べ、実在する業者かどうかを確認することは、トラブルを未然に防ぐための基本的な対策といえます。

契約を急がせる勧誘には注意する

投資詐欺では、冷静に考える時間を与えないようにするため、「今日だけの特別枠」「今すぐ参加しないと元本保証が適用されない」などと契約を急がせるケースが多く見られます。

こうした勧誘は、判断力を鈍らせる心理的なプレッシャーを利用した典型的な手口です。信頼できる金融商品であれば、内容を十分に理解するための時間を与えるのが通常です。少しでも違和感を覚えた場合は、その場で契約や送金を決めず、第三者に相談するなどして冷静に判断することが大切です。

元本保証の投資を勧められた場合の対処法

もし元本保証をうたう投資勧誘を受けて不安を感じた場合や、すでにお金を支払ってしまった場合でも、適切な対応を取ることで被害の拡大を防げる可能性があります。特に投資詐欺のケースでは、時間が経つほど証拠が失われたり、資金の追跡が難しくなったりすることもあります。

そのため、怪しいと感じた段階で早めに行動することが重要です。ここでは、元本保証の投資勧誘に直面した際に取るべき基本的な対応について解説します。

追加の送金や契約をすぐに行わない

すでに一度お金を支払ってしまった場合でも、相手から追加の送金を求められるケースは少なくありません。「保証金」「出金手数料」「税金」などの名目でさらに送金を求められることがあります。

しかし、このような追加費用を支払っても出金できないまま連絡が取れなくなるケースが多く報告されています。少しでも違和感を覚えた場合は、それ以上の送金や契約を行わず、状況を整理することが大切です。

契約書やLINEなどのやり取りを証拠として保存する

投資勧誘に関するメッセージや契約書、振込記録などは、後から法的手続きを行う際の重要な証拠となります。特にLINEやSNSのメッセージは、勧誘の内容や約束された条件を確認する資料になる可能性があります。削除されてしまう前にスクリーンショットを保存したり、やり取りの履歴を保管したりしておくとよいでしょう。証拠が整理されているほど、被害状況を説明しやすくなります。

消費生活センターや警察へ相談する

投資勧誘に不安を感じた場合は、消費生活センターや警察へ相談することも一つの方法です。警察には相談専用電話「#9110」が設けられており、被害の可能性がある場合にはアドバイスを受けることができます。また、消費生活センターでは契約トラブルや詐欺的な勧誘についての相談も受け付けています。第三者の専門機関に相談することで、状況を客観的に整理することができます。

投資詐欺の可能性がある場合は弁護士に相談する

すでに金銭を支払ってしまっている場合や、被害の回復を検討したい場合には、弁護士などの専門家へ相談することも重要です。投資詐欺では、返金請求や被害回復のために法的手続きが必要になることがあります。弁護士に相談することで、証拠の整理や相手方への対応、返金請求の可能性などについて具体的な助言を受けることができます。被害の拡大を防ぐためにも、早めに専門家へ相談することが望ましいでしょう。

元本保証をうたう投資には注意が必要 

元本保証という言葉には安心感がありますが、投資の勧誘で安易に元本保証をうたう行為は、出資法違反や金融商品取引法違反に該当する可能性があります。特に、「必ず儲かる」「元本保証で高配当」などの勧誘は、投資詐欺の典型的な手口として注意が必要です。少しでも不審に感じた場合は、追加の送金や契約を控え、やり取りや振込記録などの証拠を保存したうえで、警察や消費生活センター、弁護士などに早めに相談することが大切です。

監修者

菅野正太 弁護士

菅野正太 弁護士

上智大学法学部法律学科卒業、早稲田大学大学院法務研究科修了。2017年に弁護士登録(第二東京弁護士会)し、都内法律事務所を経て、2018年より永総合法律事務所に所属。 企業法務から刑事事件まで幅広い分野を手がけ、2022年には出入国管理及び難民認定法違反被告事件において無罪判決を獲得した実績を持つ。第二東京弁護士会では綱紀委員会・倫理委員会・仲裁センター・子どもの権利委員会の各委員を務め、弁護士倫理や紛争解決、子どもの権利保護にも精力的に取り組んでいる。